いつも食べないものを食べてみる
いつも食べないものを食べるのが好きだ。それは断じてゲテモノ好きとかディープな話ではない。
例えば、松屋に行って新商品が出ていたらとりあえず食べてみたいし、よく行く定食屋では注文したことないメニューを注文したりする程度のことだ。
これを会社の同僚に話したら、チャレンジャーだね、と言われたことがある。
同僚の場合は店ごとに食べるメニューがある程度決まっており、ここに来たらコレ、というパターンがあるようだ。
今日は昼過ぎにお腹が空いたので、近所の喫茶店で遅いランチを取ることにした。
過去に一度だけスパゲッティを食べたことがあったので食事メニューもあるのは知っていたが、まじまじと見ると全部で10品ぐらいしか無いみたいだ。
彩り豊かな写真が並んでいるが、以前に食べたナスのスパゲッティはとても美味しかったので今日は違うものを注文してみよう。
どれだけ美味しい料理が出てくるのか楽しみだ。
ウェイトレスが運んできたビーフシチューオムライスはメニューに載っていた写真とお皿や盛り付けが異なっているように感じた。
あれ?と思いながらビーフシチューをスプーンで掬おうとしたら、想像してたよりもお皿が浅くカチンと跳ね返される。
こんなに浅瀬のビーフシチューは初めてだ。水深1mmしか無いぞ。
どうやらメインはオムライスの方で、ビーフシチュー要素はトロトロのお肉が数個ほどデミグラス色のウユニ塩湖で遊んでいるぐらいだった。
期待を裏切られはしたが、味はとても美味しい。とろとろの卵がチキンライスを包み、ビーフシチューが良いアクセントになっていた。
もしまた来ることがあったら、次回はカツサンドを頼んでみようと思う。
食後のコーヒーを注文して、ぼーっと考えてみる。
普段食べないものを食べるってそんなに珍しいことでもないし、常に同じものを食べることの方がどちらかと言えば苦痛なのではないだろうか。
と思ったが私の妻はいつも同じものを食べている。コレと決めたら1ヶ月ぐらい同じものを食べ続けていても何とも思わないようだ。
思いを巡らすと、何を食べるか、というのはこれまでの生活の中で何百何千と繰り返されてきた自問自答である。
この手間を省略してしまった方が、人生のリソースを考えれば、かなり有益なのではなかろうか。
考える手間が省けて他のことに集中できるし、期待したものが美味しくなかったという余計なストレスを抱え込まなくて済む。
何を食べるか、を辞めてみるか。いやしかし、それにはチャレンジできそうにはないな。